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2009.05.15
引退公演『Esprit〜エスプリ〜 ローラン・プティの世界』のご報告 by草刈民代

『エスプリ』は14公演で2万9千人!
お久しぶりです。草刈民代です。今年に入って、このfeatureの原稿を夫が書いてくれていたので、私が書くのは今年初めてということになりますね。あっという間に、もう5月となってしまいました。
さて、『エスプリ』ですが、本当に多くの方々に観ていただくことができました。私の引退の記事を載せてくれた新聞に、14公演で2万9千人と書いてありました。11カ所で2万9千人の人々が、公演に足を運んで下さったのです。凄いことです!

もっとプティ氏の芸術性を追求したものを
今回の公演は、ローラン・プティ氏の代表作を並べ、プティ氏の芸術性を堪能していただく公演にしたいと思っていました。プログラムについては、3年前の『ソワレ』の企画を進めていたときに、アイディアが浮かびました。
どちらかというと、前回は、プティ氏のエンタテインメント性を全面に出した形の内容だったのですが、企画を進めながら、もっと芸術性を追求した内容のものもできるはずだと思ったことがきっかけです。
「芸術性を追求する」ことを模索し、示したい
今の時代、「芸術性を追求する」というような、直球型の表現が減ってきていると感じます。それに、ある部分では、そのような考えで創られたものに、人は興味を示さないと考える風潮もあります。だからこそ、それを模索し、示してみたいという欲求がありました。
踊りでなくては表現できないもの、プティ氏の作品でなければ味わえないもの、そういうものをはっきりと打ち出す公演をしてみたかったのです。そういう公演は、初めて観る人にとってもわかりやすい公演となるはずだと信じていました。
なぜなら、そこで見られるものは、踊りでなければ表現できないものであったり、踊りだからこそ表現できるものであり、踊り以外の何ものでもないからです。またそれは、理屈ではなく、踊りを観ることによって、踊りを感じるという、劇場に行って、目の前で踊りを観なければ味わえないものでもあるのです。そのような体験をした人は、決して踊りを観ることが難しいことだとは思わないでしょう。
ダンサーは演じている
昨年の12月と、今年の3月の2回に分けて、私は各公演地へ出向き、プロモーションを行いました。各地で、必ず一人か二人は、「バレエは観たことがないのですが、初めての人でもわかりますか」という質問をする記者の方がいました。私は、そういう質問の度に「踊りを観てわからない人はいないはず」と答えていました。
なぜかと言えば、踊りは頭で理解するよりも、まずは、感じるか感じないか、というように、感覚で観るものだと思うからです。
例えば、ダンサーの肉体の凄さに感じ入るときは、理屈よりも、単に「凄い!」ということでしか表現できないところがあるのではないでしょうか。回転やジャンプなどの技術に目を奪われるときもありますし、ダンサーの立ち姿や、ちょっとした仕草に感動することもあります。
ダンサーは演じているのです。どのダンサーも、踊ることを通して、自分の役柄や役目を演じています。
踊りの本質に触れられる公演を思い描いて
今回は、初めてバレエをご覧になるお客様も沢山いらしたと思います。バレエに詳しい方々にも、初めて御覧になった方々にも、楽しんでいただけたというお話を多数聞きました。
ぜひ、観ることで、踊りを体験できる公演をしたいと思っていました。観ている人が、踊りの本質に触れられる公演を思い描いていました。今までに、私が、「踊る」ことを通して経験し、学んだことを、このような形で生かすことができて、本当に良かったです。
今回の私の目標は、ローラン・プティ氏の作品を通して、バレエという表現の素晴らしさを多くの人に堪能していただく、ということでした。その目標は達成することができたようです。ダンサーとしての最後の公演が、このような有意義なものであったこと、そして最後の最後まで、目標を持って「踊り」に取り組めたことに感謝します。
全ての方々に…
ローラン・プティ氏を初め、出演して下さったダンサーの方々のお陰です。タマラ・ロホさん、ルイジ・ボニーノさん、マッシモ・ムッルさん、イーゴリ・コルプさん、リエンツ・チャンさん、ワンー・チーミンさん、リー・チュンさん、田中裕子さんに、この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
そして、高い目標を掲げて猛突進をする私に付き合いつつ、尽力して下さったスタッフの方々、光藍社の皆さん、関係者の方に深くお礼申し上げます。
そして、今まで応援して下さった全ての皆さんに心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。
東京公演の模様を御覧下さい。



『アルルの女』写真上・中:草刈民代/マッシモ・ムッル、写真下:マッシモ・ムッル


『ヴァントゥイユの小楽節』(『プルースト 失われた時を求めて』より)タマラ・ロホ/イーゴリ・コルプ


『コッペリウスと人形』(『コッペリア』より)ルイジ・ボニーノ


『タイス パ・ド・ドゥ』(『マ・パヴロヴァ』より)タマラ・ロホ/リエンツ・チャン



『切り裂きジャック』(『オットー・ディクス』より))写真上:イーゴリ・コルプ、写真中・下:草刈民代/イーゴリ・コルプ


『白鳥の湖』(1幕2場より)草刈民代/マッシモ・ムッル


『エスメラルダとカジモドのパ・ド・ドゥ』(『ノートルダム・ド・パリ』より)タマラ・ロホ/リエンツ・チャン


写真上から:『ティティナを探して』(『ダンシング・チャップリン』より)、『小さなバレリーナ』(『ダンシング・チャップリン』より)ルイジ・ボニーノ


『ジムノペディ』(『マ・パヴロヴァ』より)写真上:リエンツ・チャン、写真下:草刈民代/リエンツ・チャン


『モレルとサン=ルー侯爵 パ・ド・ドゥ』(『プルースト 失われた時を求めて』より)マッシモ・ムッル/イーゴリ・コルプ


写真上から:『チーク・トゥ・チーク』草刈民代/ルイジ・ボニーノ、 フィナーレ『チーク・トゥ・チーク』

草刈民代